＜横浜８−７ヤクルト＞

　バキッと乾いた音が雨中のグラウンドに響いた。１点リードの９回裏２死三塁。暴投でもしたら同点、という場面でも、横浜佐々木はフォーク２球でラミレスを追い込む。遊びは無用だ。内角高め直球で３球勝負を挑む。ラミレスのバットをへし折り、力ない三塁フライに打ち取った。「ホームランさえ打たせなければいいんだから」。先頭打者を出したが、平然と後続を断ち切った。

　今季初のヤクルト戦の登板。これで全５球団との対戦を終え、中日を除く４チームから、失敗なしの９セーブとなった。だが、そんな数字以上に、佐々木にとってヤクルトを抑えた意味は大きい。過去１０年間のヤクルト戦通算成績は６勝８敗３６セーブ、防御率２・８３。全チーム通算が４２勝３３敗２２９セーブ、防御率２・３１というのを考えると、苦手にしている傾向がある。さらに９９年５月には、一塁コーチが球種を盗んでいると、ベンチに向かって罵（ば）声を浴びせたことがある因縁の相手だった。

　だが佐々木は「因縁の相手？　あっ、そう。全然気にしていないし、関係ないよ」と涼しい顔で話し、仙台の実家へ向かった。「１年半ぶりかな。久しぶりだよ」と０２年オフ以来の帰郷。母の日のこの日、母信子さん（６１）に気持ちよく、日本復帰報告をする。

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