<マリナーズ6−4レンジャーズ>
マリナーズ佐々木主浩投手が、ア・リーグ19回目、メジャー通算でも41回目となる1イニング4三振の快記録で今季初セーブを挙げた。レンジャーズ戦で2点リードの9回裏に登板。振り逃げ1人を含む打者4人をすべて三振で片付ける好救援を見せた。
1球ずつに、思いを込めた。9回裏、いつもと同じように小走りでマウンドへ向かった佐々木は、いつもと同じように顔色ひとつ変えずに打者に向かった。ただ、周囲には見えない胸の中で交錯する思いは、過去に感じたことのないほど切迫していた。
佐々木「昨日、あんなにぶざまな投球をしたんで今日は絶対に抑えたかったんです。」
まずは先頭のグリーンを空振り三振。続くエベレットには、まったく打撃をさせない投球で三振に打ち取りながら、決め球のフォークがワンバウンドして振り逃げ(記録は暴投)となった。だが、佐々木の心は着実に落ち着きと自信を取り戻していた。バウンドするような球を打者が振ってしまうのは、直球の軌道で来たフォークに大きな落差があるからにほかならない。バットを止めさせないキレ味で、後続のヤング、ラムも三振で切り捨てた。
佐々木「最後は狙いましたが、4三振はたまたまです。三振の意識よりも、とにかく納得のいく投球がしたかったんです。」
今季登板となった前日のアスレチックス戦では、1点を守れず、救援に失敗した。失投や配球ミスで打たれただけなら、まだ納得できた。これまでも、それらの反省点を消化しながら信頼を勝ち取ってきた。だが、今回ばかりは、これまでに感じたことのない悔しさが、腹の奥底から込み上げてきた。
佐々木「ボールがまったく行かなかった。打たれたことよりも、あんな投球じゃダメ。チームに迷惑をかけてしまう。」
深夜、オークランドからテキサスの宿舎に到着しても、思い出すのはイメージとかけ離れた投球ばかり。これまで日米両国で積み上げてきた自信が崩れそうになるほどで、2時間の時差に伴う睡眠不足でも寝つきは悪かった。ただ、前日の登板時に軸足へかかる体重のバランスの悪さを認識。復調のキッカケだけは、しっかりとつかんでいた。
昨オフの右ヒジ手術、キャンプ中の右肩痛、そして初登板での救援失敗。そんな不安材料も、初体験の1回4三振の快投でかき消した。
佐々木「今日の投球ならもう大丈夫。明日? 肩の状態が良ければいきますよ。」
今季初、そしてメジャー通算120セーブは、佐々木にとって、表面上の快記録以上に重みと価値のあるものだった。
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