<マリナーズ3−2レンジャーズ>
絶体絶命のマリナーズが、3日連続で延長サヨナラ勝ちした。レンジャーズ相手に、10回裏1死満塁から、代打シエラの決勝打でサヨナラ勝ち。直前の10回表を、今季初の3者連続三振に打ち取った佐々木主浩投手が、4勝目を挙げた。
長年の経験が、サヨナラの空気を察知していた。2−2の同点で迎えた10回表。マウンドに立った佐々木は、自らを取り巻く雰囲気を痛いほど感じていた。1番メンチ、2番ヤングを連続三振に打ち取り、3番パルメイロをカウント2−0と追い込んだ時点で狙っていた。「三振に取れば、うちが勝てる」。同じ無失点投球でも、3者連続三振が、続く味方の攻撃に生むリズムは、感じていた。
最後は、フォークを続けてハーフスイングの三振。今季初となる1イニング3者連続三振は、佐々木が培った経験と試合カン、そして前回登板の反省が、生み出したものだった。
確かに、プレーオフ争いで上位を走るエンゼルス、アスレチックスとの差(7ゲーム)は大きい。数字的にもその差を詰めるのは、容易ではない。ただ、可能性が残っている限り、今の時点で「Give up」するわけにもいかない。「この前の登板(16日)でやられていたし、悔しい思いをしましたからね。とりあえず、まだ(可能性は)残ってるんで最後までしっかりやりたいです」。かすかに残る可能性について、佐々木も多くは語らない。だが、前年覇者としての意地と、全力でプレーした結果の勝つ喜びは、最後まで捨てるはずもなかった。
チーム全体が同じ気持ちだった。佐々木登板の直前の9回裏2死二、三塁、デービスが投手のグラブをはじく鋭い打球を放った。サヨナラ内野安打になるかと思われたが、二塁手の送球で際どいタイミングで一塁アウト。この判定に、ピネラ監督が猛抗議を行った。帽子を投げ捨て、退場処分を食らったあとも、一塁ベースをもぎ取って放りなげるなど大暴れ。勝敗にかける姿勢は見せていた。「(蹴り上げた)太ももと(ベースを投げ捨てたせいで)肩が痛いよ」。試合後のピネラ監督の言葉にも「消化試合」でない気持ちが表れていた。
18残塁とはいえ、終わってみれば代打シエラの一打で3試合連続の延長サヨナラ勝ち。残り10試合中6試合と最も対戦の多いエンゼルスを引きずり降ろすしか現実的にはプレーオフ進出の可能性はない。1試合たりとも負けられない試合が続くマ軍にとって、内容を問わず、かすかな可能性を残す白星には違いない。
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