<マリナーズ3−0ロイヤルズ>
シアトル・マリナーズの佐々木主浩投手がロイヤルズ戦の9回に登板して3者凡退2奪三振で19セーブ目、日米通算330セーブ目を挙げた。前夜の同カードで2発被弾して6月30日のロッキーズ戦に続き2試合連続で救援に失敗していた。眠れぬ夜を吹き飛ばす、こん身の10球締め。
日没の遅いシアトルの夜空には、まだ青さが残っていた。前夜の2発被弾からもまだ23時間しか過ぎていない。それでも佐々木は9回のマウンドに向かった。「クローザーの仕事は気持ちを切り替えること」と簡単に言うが投球練習を始めてもまだ引きずっていた。「1球だよね。打者に1球投げたところで忘れられた」。
悔しさを断ち切った瞬間に大魔神の集中力は一気にピークを迎える。先頭ギーエルに対しきれいな回転の直球がデービスの構えたミットに2球吸い込まれる。「真ん中に行くのがいやだった」と、外角にボール球になるカーブを投げた。大胆かつ細心の配球で最後はフォークボールで空振り三振を奪った。フェブルスは3球で投ゴロに、最後のバーガーはフォークボールを2球空振りさせて3球三振で締めくくった。前夜のような制球ミスは一切ない。低く両コーナーにこん身の10球を集めた。
「ミ・ヤ・サ・コです!」。デービスのほおをたたき、お笑いタレントで知人の「雨上がり決死隊」のギャグを決めてようやく笑みをみせた。ロッキーズ戦の失敗から4日目に見せた心からの笑顔は、最大の集中力と悔しさから解放された安どの表情だった。
今季はロ軍戦で失敗するまで自責点1の完ぺきな内容だった。それだけに2試合4失点での連敗はファンにとっても衝撃的だった。ピネラ監督は「1日も早く佐々木に切り替えてもらいたかった」。マウンドでそれにこたえると地元局のヒーローインタビューに呼ばれた。さらに日米の記者への会見を終え、ようやく一息ついた。「やっとぐっすり眠れるよ」。
抑え役12年目の佐々木でさえ気分転換は野球以外で図ろうとするという。それでも本当に切り替えられるのはマウンドの上でしかないことも知っている。愛車に乗り込むころ、本拠地はようやく暗やみに包まれた。佐々木が静かに眠れるように…。
この情報はnikkansports.comの協力でお送りしています
|