<インディアンス15−14マリナーズ>
ア・リーグ西地区を独走するシアトル・マリナーズが、76年ぶりとなる歴史的な逆転負けを喫した。インディアンス戦で、中盤までに大量12点をリードしながら終盤に追い上げられ、佐々木主浩投手のスクランブル登板も実らず9回裏に同点。延長11回裏、サヨナラ負けした。
映画のシナリオでも無理があるような、大逆転劇だった。序盤、マ軍はイチローの3打点をはじめ集中打などで5回までに大量12点をリードした。13連戦中でもあり、マ軍はイチロー、マルチネス、オルルドら主力選手を早々と「お役御免」にする余裕しゃくしゃくの試合展開。実際、イ軍もアロマー、ゴンザレスら中軸をベンチへ下げるなど、あとは淡々と回が進むのを待つだけだった。
だが、だれもが予想しないことが起こった。7回裏、リーグトップのチーム打率(2割8分7厘)を誇るイ軍打線が徐々に目を覚まし始めた。3点を返し、続く8回にも2アーチなどで4点を加えた。この時点で5点差。リーグ最強のマ軍救援陣なら逃げ切れるはずだった。ところが、3番手チャールトンが1点を許し、2死後、慌てて登板したネルソンもアウト1つが取れない。
こうなれば、敵地スタンドは総立ちのイケイケムード。緊急指令を受けた佐々木でも、流れは止められなかった。ほとんど肩慣らしだけでマウンドに上がり、3点差の2死満塁から走者一掃の同点三塁打。延長11回裏、サヨナラ負けの瞬間は、ロッカールームで見届けた。最大12点差の逆転劇は、メジャー101年の歴史の中でも1911年、25年にあるだけで、実に76年ぶり。「野球は本当に最後まで分からないものですね。抑えたかったですけど、今日はダメでした」。ショックを感じる以上に、野球の怖さを再認識するしかなかった。
マ軍にすれば、今季最多得点を挙げ、先発投手4人を除く21選手を動員したうえでの敗戦。球団の新人最多タイとなる161安打、自己最多の3打点を記録したイチローの活躍もかすんでしまった。「12点差をひっくり返したんだから、相手をほめるしかない。こういうことも起こり得るということ。ほかに何も言えないよ」とピネラ監督。開幕以来、順調に貯金を積み上げてきたマ軍にとって、この黒星が手綱を締め直すキッカケとなりそうだ。
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