<ヤンキース6−7マリナーズ>
シアトル・マリナーズ佐々木主浩投手がヤンキース戦に2点リードの9回から登板。1失点ながら、自己が持つ球団記録を更新する38セーブ目を挙げ、リーグトップに並んだ。佐々木攻略の対策は練られている印象を残したが、苦しみながらのセーブはプレーオフでの対戦に向け、価値あるものになった。
何かがおかしかった。球威でも切れでもない。フォークボールをことごとくカットされる。2点リードの9回から佐々木は登板。1死から3連打され、押し出し死球で1点を失った。なお1死満塁。ヤンキースの猛攻に帽子のひさしから滴る汗を何度もぬぐった。打者スペンサー。ファウル5球、粘られる。捕手ウィルソンがマウンドに駆け上がった。
「何を投げる」。英語で問われた佐々木は興奮のあまり、日本語で「外、真っすぐ」と答えたほどだった。一瞬、間を置いて「ファストボール」と言い直す。横浜時代から経験した修羅場は数え切れない。そんな佐々木が精神的に追い込まれるほど、ヤ軍打者の確信に満ちたスイングだった。
3連打の3本目は、打球が右太ももを直撃するアクシデントもあった。ボールの縫い目の跡が残るほどダメージを受けながら、最後まで投げ抜いた。スペンサーを真ん中速球で空振り三振に切り、最後はソリアーノを左飛に仕留め、サヨナラ負けの危機を脱出した。
「めちゃくちゃ疲れました。試合を落としたくなかったからホッとしています。でも、今回の対戦は参考になりますね」。配球かサインが読まれている?癖か?その疑心からウィルソンは9回だけで3度もマウンドに歩み寄り、サイン交換を口頭でしたほどだった。
救援に失敗すれば、今季初の3連敗になるところだった。だがそれ以上に、10月プレーオフで対戦する可能性が高い相手に弱みを見せるわけにはいかなかった。「明日は投げられないかも」と足に視線を落とす。心身ともボロボロになりながらも昨季、自らが作った球団記録を更新する、シーズン38セーブ目を挙げた。
セーブ王争いでもヤ軍リベラに並びトップ。「でも記録よりポストシーズン。ヤンキースには借りがあるから」。昨年はリーグ優勝決定シリーズでヤンキースに敗れ、ワールドシリーズ出場を阻まれた。今季2番目に多い34球の苦しみは10月の大一番への経験にもなった。佐々木は「世界一軍団」とのリターンマッチを見据えていた。
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