優勝しても「シャンパン・ファイト」は自粛−。ア・リーグ西地区優勝へのマジックを2としているシアトル・マリナーズが、米中枢同時テロの影響を考慮し派手なお祝いをしない方針を固めた。17日(同18日、マ軍は翌日)の公式戦再開に備え、この日から本拠地セーフコフィールドで練習を開始したが、優勝目前の明るいムードはなかった。
慣れ親しんだグラウンドに戻っても、マ軍ナインに笑顔はなかった。ユニホーム姿で集合するのは、10日のエンゼルス戦以来4日ぶり。だが、センターポールの星条旗は半旗、電光掲示板に「God Bless America(アメリカに神の恵みがあらんことを)」との文字が映し出された中での練習は、淡々としたものだった。
前日までに、米大リーグが17日からの公式戦再開を発表。同日、試合のないマ軍は18日にも地区優勝が決まる可能性が出てきた。この日の練習再開も優勝、そしてプレーオフへ備えるためのものだが、事件の衝撃はチームの優勝への意識を消し去っていた。練習前、ピネラ監督がチームを代表して言った。「今は惨事に遭った人々のことを考えるのが第一。この国がこういう状況の中で、我々が野球の試合に戻ることは難しいだろう。野球は小さいことだが、少しでも人々の手助けになれればいいが、優勝が決まっても我々のだれもがお祝いすることなんか、考えていないだろう」。同監督は選手として11年、監督として3年以上ニューヨークに本拠を置くヤンキースに在籍したこともあり、目を赤くさえしていた。
メジャーの優勝セレモニーといえば「シャンパン・ファイト」が定番。だが、現在の国民感情、状況を考慮して、派手なお祝いを自粛する方針を固めた。前日チャーター機で遠征先のアナハイムからシアトルへ戻ったナインから、1日遅れで荷物が到着。その中には84本のシャンパンも含まれていたが、それも文字通り「泡」となる見込みだ。
選手にしても、優勝ムードに浸れる気分ではなかった。米国報道陣に囲まれた佐々木は「試合をする以上、勝つために頑張ります。ただ、優勝が決まってもこの国の人々の悲しみを考えたら喜べません」。昨年、162試合目でプレーオフ進出を決めた際にはマウンド上で跳び上がった。だが、今年は「胴上げ投手」になっても、派手なポーズは見られそうにない。
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