昨年とは、また違った気持ちでこの瞬間を迎えられました。1年間全員で戦ってきて最後はホッとしましたね。ただ、その後…。試合が終わったらマウンドに集まろうとは話していたんですが、あんな経験は初めてですね。目をつぶって被害にあった方へ祈りをささげていると「こういうこと(惨事)がなくなりますように」と素直な気持ちになれました。
昨日(18日)から公式戦は再開しましたが、その前の晩はなかなか眠れなかった。なぜだか分からないけど。僕らは、これ(優勝)を目標にやってきた。僕らとすれば自分たちのプレーを見てもらって少しでも勇気を与えられれば、ということしか言えないのが正直な気持ちですね。
シーズンを振り返れば4月はきつかった。投げて投げて休み、投げて投げて休みの繰り返し。2勤1休のような感じで毎日、投げてる感覚だった。(4月25試合で15試合に登板。13セーブは4月の大リーグ新記録)。気持ちに余裕を持って臨めた2年目だったけど、しんどい時期もあった。投球でもフォークがずっと思い通りに落ちなかった。1年間、ずっといい状態にはならなかった。メジャーは日本の方が思ってる以上に研究熱心なんです。僕に対してフォークボールの意識が強いのか早打ちの打者が多かったのも今年の傾向。だからカーブを投げ始めたんです。同じ球種が毎年通じるほどメジャーは甘くないから。それを痛感した2年目でもありました。
まだ地区優勝の段階ですが106勝もした実感はないんですよ。でもそれはみんなが一生懸命やってきた産物。「一枚岩」。この言葉通りの集団でした。アレックス(ロドリゲス=レンジャーズ)というスター選手が抜けたけどブーン(二塁手)が加入し、それにイチ(イチローの愛称)がいて2人でそれ以上の仕事をしたと思う。イチのことを言えばあいつはやっぱり天才だね。人が見ていないところでの努力もそうだけどだれにもマネできない。一緒にグラウンドに立ってきてすごい選手だと思ったよ。
あんな大惨事が起きて、なかなかプレーする気持ちになれなかった。でも僕らにはワールドシリーズという大きな目標がある。プロとしての使命感を持って、シーズン最後までマウンドに立ち続けたいと思います。(シアトル・マリナーズ投手 佐々木主浩)
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