<プレーオフ、ア地区シリーズ第2戦:マリナーズ5−1インディアンス>
4点のリードなどマリナーズ佐々木の頭にはなかった。セーブなど関係ない。ただ0点に抑えることだけに集中した。「やっぱりシーズンとは違う緊張感はありました。短期決戦なので絶対に落とせませんから」。相手にスキを見せないことが短期決戦では重要な要素であることを強く意識していた。
9回表。先頭4番ゴンザレスをフォークで空振り三振。続くバークスに中前へ運ばれたが、トーメを中飛、最後はフライマンを149キロ直球で空振り三振。「9月はフォークが良くなかったが、投手コーチがもう戻ったと言っていた。その通り」。ピネラ監督の笑顔を誘う、安定感抜群の内容だった。
地区優勝後、一時、調子を崩した。テロ事件で公式戦が中断し、精神的にふとした「間」が生じていた。だがプレーオフを前に仕切り直した。投球フォームをチェックし、走り込みを増やした。平地で距離を伸ばした投球練習を行うなど準備にぬかりはなかった。フライマンにはカーブを投げるなど戦術的工夫も忘れていなかった。
昨年の4試合と合わせ、プレーオフ5試合では5回2/3で10三振。奪三振率15・88と公式戦以上の火消しぶりだ。「このためにキャンプから練習してきたんです。1勝1敗になったし、あと2試合で決めたい」。プレーオフ男・佐々木の言葉には力がこもっていた。
◆マリナーズ:38歳の先発左腕モイヤーが6回0/31失点と好投し、ポストシーズン初勝利を挙げた。昨年は左ヒザの故障で離脱。投げられない悔しさを味わったが今季は初の20勝を挙げるなど、投球術はさらに円熟味を増した。「初回を3人で抑え、しかも味方が4点を取ってくれたのが大きかった」。第5戦までもつれれば、中3日で登板する可能性もあるだけに86球は理想的な内容だった。
◆因縁対決制す:マリナーズのローズが「ピアス事件」の因縁対決を制した。4点差の8回から登板し無失点。このカードでは8月の試合で「ピアスがまぶしい」とビスケルに抗議され、ローズは暴言を吐き退場処分を受けた。そのビスケルを右飛に抑えたローズは「ビスケルはあまり意識しなかった。今日はマウンドが陰に隠れ、影響はなかったんだろ」。
◆敵地にも自信:マリナーズは初回に飛び出したキャメロン、マルチネスの2ラン2本でシリーズの流れを引き寄せた。キャメロンは「今度は敵地だけど、僕らはロードでいいんだよ」と今季59勝22敗と貯金37のビジター戦に自信たっぷりだった。
◆トーメがブレーキ:インディアンス 完敗を喫し、さすがに悔しさを隠せなかった。4回1死一、二塁のチャンスにバークス、トーメが凡退。マ軍モイヤーをつかまえるチャンスを逸した。今季49本塁打の主砲トーメは「あの回がキーポイントだった」。
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