<プレーオフ、ア優勝決定戦第5戦:ヤンキース12−3マリナーズ>
雪辱へ燃える気持ちは来季へ持ち越しとなった。マリナーズ佐々木は、マウンド上で広がるヤンキースの歓喜の輪をあえて目に焼き付けた。「個人的にも打たれて負けたので悔しいです」。前日21日の第4戦の9回、ソリアーノに痛恨のサヨナラ2ランを浴び、昨年から続くプレーオフ無失点記録の神話が崩れた。
「必ずやり返す。このままでは終われません」。汚名返上のチャンスをブルペンで待ち続けた。この日試合前にはニューヨーク市内の日本食レストランで「トンカツ」を食べ、ゲンまで担いだ。ニューヨーク入りしてからたくさんの日本人に声をかけられた。「佐々木君とイチロー君は我々日本人の誇りだ。ヤンキースを倒してワールドシリーズ出場を期待してます」。
9月11日の米中枢テロ事件で多数の日本人も亡くなった。ホテルの宿舎から球場入りする際には、貿易センタービルがあった南方向へ手を合わせもした。「僕とイチローが活躍して、少しでも苦しんでる在住日本人の方の希望のあかりになれればいいと思います」。だが、そんな思いも通じず、3−12の一方的な展開で出番はなし。「悔しいですよ」と視線を落とした。
2年連続でリーグ優勝をヤ軍に阻まれた。「また1球の怖さを知り、勝つことの難しさを痛感できたのは収穫です。来季は必ずヤンキースを倒す。それまでこの思いは忘れません」。それでもメジャー記録の116勝に貢献し、イチローとともにマ軍の快進撃を支えたのは確か。1年目の37セーブから今季はリーグ2位の45セーブをマーク。今やメジャーを代表するクローザーとなり、胸を張って帰国できる内容だ。「1年目より自信はついた。来年は3度目の何とかにしたいですよね」。その目は既に来季を見据えていた。
この情報はnikkansports.comの協力でお送りしています
|