<プレーオフ、ア優勝決定戦:ヤンキース3−1マリナーズ>
シアトル・マリナーズ佐々木主浩投手が、痛恨のサヨナラ2ランを浴びた。ヤンキースとのリーグ優勝決定戦第4戦。同点の9回裏に元広島のソリアーノに右翼席へ運ばれ、1勝3敗と王手をかけられた。昨年のプレーオフから無失点を続けてきたが、初失点が屈辱の1発となった。イチロー外野手も3打数無安打2三振で、プレーオフ9試合目で初の無安打。これまでマ軍を支えてきた日本人コンビには厄日となったが、22日(同23日)第5戦でのリベンジを誓った。
さすがの大魔神も、押し寄せるヤ軍の大きな波は抑えられなかった。1−1の同点で迎えた9回だった。1死一塁からソリアーノに右中間へサヨナラ2ランを運ばれた。マウンド付近で打球の行方を追った佐々木は、スタンドインした打球を見届けるとその場にへたり込んだ。「まさか入るとは…」。このひと言を発しただけで、ロッカー室では無言を貫いた。
佐々木は今季のヤ軍とのプレーオフでの戦いに「何か見えない力が働いている気がする」。ヤンキースタジアムはすり鉢形の球場で、風のある日は外野の風が舞う特徴がある。その風が1度はマ軍に味方したが、最後はアンラッキーに働いた。0−0で迎えた8回、3番ブーンが左翼席へ先制アーチを放つ。ブーン自身、左飛だと思いこんだ打球が風に乗り、スタンドまで届いたものだった。
だがその裏、風は敵軍に味方する。1死走者なしからヤ軍B・ウィリアムズが、ローズから起死回生の同点弾を右翼席へ運ぶ。だれもが右飛と確信した打球が、風に乗り伸びた。そして9回だ。佐々木が「まさか」と思った瞬間には、外野の星条旗がホームからセンター方向へ大きくなびいていた。打球を追ったセンターのキャメロンも「打った瞬間は入るとは思わなかったよ」と悔しがるサヨナラ被弾だった。
シーズンで1906年のカブスのメジャー記録と並ぶ116勝をマーク。ネルソン、ローズ、佐々木とつなぐ継投が白星の積み重ねに大きく貢献してきた。だがプレーオフの大切な試合でローズが痛打を浴び、最後の佐々木も相手の勢いを止めることができなかった。ランプキン捕手は「最後は珍しく佐々木のボールが高めに浮いた。相手にうまく運ばれたよ」。
皮肉にも2本のアーチが頭上を越え、ぼうぜんと打球を見送ったのはイチローだった。相手先発のクレメンスから2三振。3回には四球で歩いて盗塁に成功したが、プレーオフでの連続試合安打は8試合でストップした。22日の誕生日を前に、もう1敗もできない瀬戸際に立たされた。
それでもまだ可能性が消えたわけじゃない。宿舎ホテルに戻った佐々木、イチローが同じ言葉を口にした。球場では落ち込んでいた佐々木は「やられたら必ずやり返す。あした負けてる試合でも投げるつもり。このままでは終われません」と口元をギュッと結んだ。イチローも「あしたやるしかないです」。奇跡の逆転へのリベンジ。屈辱を味わった2人の思いは、必ず通じるはずだ。
◆マリナーズ・ピネラ監督 (ショッキングなサヨナラ負けを喫し、半ば開き直ったように)「我々は負けたわけではない。やられただけだ。相手が素晴らしかったということ。彼らに脱帽するだけ。ただ、明日は必死にやるよ」
◆ヤンキース・トーレ監督 (4年連続ワールドシリーズまであと1勝に迫り)「とても素晴らしい、感動的な試合だった。同点になったし、リードを守る必要のない本拠地の我々にアドバンテージがあると思っていたよ」
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