<ツインズ4−5マリナーズ>
シアトル・マリナーズの佐々木主浩投手が、絶体絶命のピンチで快投を演じた。1点リードで迎えたツインズ戦の8回裏1死満塁の場面で登板。三振、中飛に退け、続く9回も3人でピシャリと抑え13日以来となるメジャートップの18セーブ目をマークした。4日前のヤンキース戦では救援に失敗したが、快投で健在ぶりを示した。
思わぬ緊張感が、マウンドの佐々木に4日前の悪夢を忘れさせた。1点リードで迎えた8回裏1死満塁の場面。「自分が行くとは思わなかったけどね。確かにキツい場面だったけど、いつでもいける状態にはしてましたからね」。4アウト契約(1回1/3まで)を結んでおり、基本的には出番はまだだったはず。だがピネラ監督がベンチを出た瞬間、すでに腹はくくっていた。走者を1人もかえせない状況だ。ベンチが三振を求めていることぐらい、佐々木は十二分に理解していた。
最初の打者ジョーンズに対して、カウント2―3となった時点で、敵地のスタンドは総立ちとなった。だが、佐々木の視線は捕手のミットだけに注がれていた。「そんなのを気にしていたら投げられませんよ」。外角高めの直球で空振り三振。敵地のファンを座らせるのに手間は取らせなかった。
状況は苦しくても、佐々木に不安はなかった。セーブを重ねていた4月後半以降、実はアキレス腱(けん)の痛みに悩まされた。いつもなら試合前、だれよりも早くグラウンドでランニングしていたのを取りやめて治療に専念した。走り込むことで体調を管理していた男が、じっと痛みをこらえて、連日のようにマウンドに上がっていた。だが、その痛みも順調に回復。ランニングを再開した途端、投げる不安は消えていた。チャーター機で移動の際には、日本製のDVDでテレビドラマを観賞する。「あれでリラックスできるんです」。激動の1年を経たことで、2年目の今季はメジャーで生き抜くための独自の手段を身に付けていた。
最後の打者、ミントケービッチに対しては、カウント2―2から外角への直球で三振。現在、メジャーでもっとも脚光を浴びている4割打者のバットを、微動だにさせない投球でフィニッシュした。「前回(19日=ヤ軍戦)、勝負を急いでやられたんで、いろいろと考えて投げましたよ」。試合前には、殿堂入りしたパケット氏(元ツインズ)にあいさつ。トップメジャーとなった佐々木の存在を知らない野球ファンは、だれもいない。
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