<MLBオールスター:ア・リーグ4−1ナ・リーグ>
世界の大魔神だ。マリナーズ佐々木主浩投手が3点リードの9回に登板。激しいカメラのフラッシュの中、3人で抑える見事なセーブを挙げた。イチロー以上の拍手、大歓声、そしてスタンディングオベーション…。息子の晴れ姿に日本から応援に駆けつけた母信子さんは涙が止まらなかった。
3点差の9回、佐々木がマウンドへ行く。「カズヒロ、ササキ!」の場内アナウンスに、4万7364人の観客がスタンディングオベーションで迎えた。1球ごとに無数のフラッシュがたかれ、球場全体に稲妻のような光が走る。今季限りで引退するリプケン、そして同僚のイチロー。そうそうたるメンバーの中で、ファンからのフラッシュを一番浴びたのは間違いなく世界の大魔神だった。
佐々木ブルペンでは、緊張して投球がバラバラだったんですよ。でもグラウンドに出る時には、抑える!と大声を出して自分に言い聞かせて行ったんです。それでもマウンドでは、何で自分なんかがこんなところにいるんだろう、と感じてましたね。地元開催で、あのスタンディングオベーション。なぜかそのファンの歓声を聞いた瞬間に冷静になれた。ポサダ捕手に自分からシーズン中と同じ首を振るサインを決めたりしたから。今まで感じたことのないような重圧も感じてたけど、今までの野球人生で最大の見せ場だと気合が入りました。
先頭ジャイルズを二ゴロ、続くケーシーにはカウント2―2から、145キロの直球で空振り三振を奪った。最後はフロイドを一ゴロに抑え、球宴で日本人投手初のセーブをマークした。昨年はプレーオフ進出を決めるメジャー新人記録の37セーブ、続くディビジョンシリーズ、チャンピオンシップと立て続けにセーブを挙げ、あとはワールドシリーズのセーブを残すだけとなった。
佐々木「つくづく運がいい男だと思いますね。この球宴も地元開催で、セーブがつく最高の3点差。試合前には通訳と「一ゴロでベースカバーにいけばウイニングボールが手に入るな」と話してたら、本当にそうなるんですから。ワールドシリーズでセーブを挙げるのも、夢でなくなったような気がします。世界の野球の頂点の舞台で、胴上げ投手なんて今まで想像すらできなかったけど、何か現実になりそうな、そんな自信が出てきました。今度はワールドシリーズのウイニングボールがほしい。スタンドには母が来てたけど、母と亡くなった父には、こういう星の下に生んでくれたことを感謝してます。」
仙台から駆けつけた母信子さんは泣いていた。東北高時代、甲子園で投げる佐々木を父忠雄さん(故人)が観戦している写真を持参。「感激して涙が出ました。お父さんにも見せたかった」。だれにもまねできない親孝行を、佐々木が夢の舞台でやってのけた。
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