<マリナーズ3−2ジャイアンツ>
NO・1クローザーだ。シアトル・マリナーズ佐々木主浩投手がメジャー1番乗りの30セーブ目を挙げた。ジャイアンツ戦、1点リードの9回に登板。4番ケントから始まる好打者3人から2三振を奪うなど無安打無失点と完ぺきな火消しぶりを見せた。今季目標の日米通算300セーブまで、あと4。イチロー外野手は1打数無安打も、こちらもメジャートップの30盗塁を記録。2人の活躍でマ軍の貯金は再び40となった。
不安な気持ちを日米両国で長年培った集中力がかき消した。9回表。マウンドへ向かう直前まで佐々木の心から確固たる自信は薄れていた。ブルペンで直球は走らず、フォークボールは高めにすっぽ抜けていた。あまりの乱調ぶりに、送り出すシナトロ・ブルペンコーチが「今日はカーブを投げた方がいい」と助言したほどだった。後半戦初めてのセーブチャンス。百戦錬磨の佐々木にも、体調と心に微妙なブランクが生じていた。
だがマウンドを踏んだ瞬間、不思議と冷静になれた。昨季ナ・リーグMVPの4番ケントに対し、カウント2―1から外角へ沈むフォークで空振り三振。続くリオスもワンバウンドするフォークでバットに空を切らせた。クレスポを迎え、球速は150キロをマーク。今季初の3連続三振こそ逃したが最後は右飛に仕留め、今季ア、ナ両リーグ最速で30セーブに到達した。同僚と勝利を分かち合うわずかな合間にイチローから記念のボールを手渡され、ようやく笑みをこぼした。
シーズン前から30Sは、ひとつの区切りとして佐々木の脳裏にインプットされていた。普段は具体的な数字の目標を挙げないが、メジャー1年目の昨年も基本ラインはやはり30だった。今季はチームの快進撃もあり、序盤にセーブを重ねたことで「球宴までに30セーブ」を目標にしてきた。だが前半戦ラストはセーブ機会に恵まれず、29セーブで後半戦に突入。開幕直後からセーブ数はリーグトップを快走したものの、どこかスッキリとしないまま、球宴を迎えていた。
もっとも、その一方で佐々木は割り切っていた。「確かに数字は残るものだけど、ひとつひとつ気にしても仕方ない。特にセーブの場合、自分の力だけではどうしようもない部分もあるし、シーズンが終わってから考えるようにしてます」。かねて言っていたように数字が自分のモチベーションを高める材料のひとつになったとしても、それはあくまでも目安にすぎない。
現在、日本の写真週刊誌によるプライベート写真掲載をキッカケに、日本のマスコミに取材拒否の姿勢をとっている。コメントを発しないなら、なおさらグラウンドで踏ん張る姿を見せるしかない。「今年、本当に目安にしているのは、日米通算300セーブとなる(今季)34セーブ目なんです」。チーム90試合目での30セーブはシーズン終了時には54セーブを挙げるペース。57セーブのメジャー記録さえも視界に入ってくる。周囲の雑音、そして自らの不安やこだわりを佐々木はセーブを重ねることでかき消していくに違いない。
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