<マリナーズ4−3ジャイアンツ>
大魔神がボンズを三振に仕留めた。マリナーズ佐々木主浩投手がジャイアンツ戦の延長10回から登板し、初回に史上最速の40本塁打を放ったバリー・ボンズ外野手から見逃し三振を奪った。同点で登板しセーブはつかなかったが、2番オーリリア、3番ボンズ、4番ケントの球宴トリオを抑え、1回1/3を無失点。後半戦開幕戦のサヨナラ勝ちを呼び込んだ。
マウンドの佐々木が打席のボンズをカウント2―2に追い込んだ。捕手ランプキンの直球のサインに迷いなくうなずく。外角低め145キロのストレートに、ボンズのバットはピクリとも動かなかった。見逃し三振で天を仰ぐボンズ。佐々木はその主砲の悔しそうな姿を見ながら、ゆっくりベンチへ戻った。
1回表に史上最速ペースで40本塁打を放ったボンズ。98年のマグワイア(カージナルス)の最多本塁打記録更新へ、全米が注目している主砲だ。96年の日米野球で初対戦しフォークで空振り三振を奪ったが、その対戦から佐々木がメジャーへ興味を持った、あこがれの選手。東京都内の自宅にはその時に交換したユニホームが宝物のように飾ってある。9日の球宴前日のホームラン競争では145メートルの特大弾を目の当たりにして「やっぱり対戦したいのはバリボン(バリー・ボンズ)です」と胸をときめかせていた。
オールスターでは対戦こそなかったが「グッドラック」とエールを送られ「またあのすごい打者を抑えてみたい」と前日から対策を練っていた。昨年6月、メジャーで初対戦した際はすべて直球勝負。結果は二塁打を浴びたが「前回は4点差の場面だったから、すべて直球勝負したんです。明日対戦したら、ボンズの頭にはそれがあると思う。だからフォークでカウントを稼いで、追い込んだら裏をかいて直球勝負します」と口にしていた。
その計算通り初球にフォーク、直球、フォーク、直球で追い込んで、最後はフォークと見せかけて直球勝負で手玉にとった。後半戦最初の登板は延長10回、同点でセーブがつかない場面だった。9回から同点でも投げる準備はしていた。相手は1番から始まる好打順だった。2番オーリリア、3番ボンズ、4番ケントと球宴出場の強打者が続く。1点勝負と踏んだピネラ監督の気持ちは佐々木が一番分かっていた。
1番マレーを二飛。続くオーリリアは三ゴロでボンズを見逃し三振。延長11回に4番ケントを中飛に抑え、お役御免でローズと交代した。1回1/3、打者4人を完ぺきに抑え、11回裏のサヨナラ勝ちを呼び込んだ。「セーブは意識してません。チームの勝利が優先。勝つためなら、どんな場面だろうが投げる」。大魔神の後押しで、マ軍が後半戦も好スタートを切った。
この情報はnikkansports.comの協力でお送りしています
|