<レンジャーズ7−9マリナーズ>
頼りになる後輩の一撃に感心してばかりはいられなかった。延長10回。イチローの勝ち越しの1号2ランをブルペンで見守っていたマリナーズ佐々木は、すぐに気持ちを入れ替えた。「あの場面、イチローが打てばいいなと思って見てましたが、あまり喜んでいるヒマはなかったんです。そのあとに自分の仕事がありましたからね」。抑えとしての役割を果たすため、全神経を集中させた。
条件は厳しかった。試合前から吹き荒れた強風は延長に入ってもやんでいなかった。マウンド上ではセットポジションで静止するのにさえ苦労したほど。
「すごく気になりました。顔の正面から風が吹きつけてたし、そのおかげでフォークも落ちなかった」というほどだった。
先頭のI・ロドリゲスにはストライクが入らず、いきなり0―3とカウントを悪くした。アーリントンといえば、昨年5月、メジャーで初めてサヨナラ弾を浴びた球場。だが、昨季の経験で、佐々木はたくましくなっていた。I・ロドリゲスを直球勝負で二ゴロに打ち取ると、続く代打カタラノット、カミニティの左打者を連続三振に仕留め、殊勲のイチローとガッチリと握手を交わした。
開幕戦に続く日本人コンビの活躍に佐々木の喜びもひとしおだった。「やっぱりイチローは天才。打撃の技術もすごいけど、ああいう場面で打席が回ってきて本当に打てるのは、強い運も持ってるから。大したもんです」。終盤、同点に追い付かれる劣勢ムードをはね返した1発を、最大級の賛辞でねぎらった。
2連続セーブの佐々木と決勝アーチのイチローは、今やチームに不可欠なスター的存在となった。「チームもいいスタートを切ったし、これからも勝利に貢献できればいいですね」。後輩のイチローを祝福する佐々木の顔には、チームリーダーとしての自覚があふれていた。
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