<ホワイトソックス5−8マリナーズ>
マリナーズ佐々木主浩投手(33)がメジャー新記録を樹立した。ホワイトソックス戦の9回、3人で仕留める完ぺきな投球で今季13セーブ目は、スミス(オリオールズ)を抜く4月のメジャー月間新記録。通算50セーブ達成、チームも4月のメジャー新記録の20勝到達と、記録ずくめ。イチローも3安打猛打賞と、マ軍の歴史的なスタートダッシュを象徴する勝利となった。
最後はカーブだった。9回裏2死から、4番オルドネスを中飛に打ち取り、佐々木はマウンド上で笑った。イチローとガッチリ握手を交わす。3点リードのこの回から登場。最速93マイル(約149キロ)の速球と、落ち過ぎるほどのフォークボールで投ゴロ、3球三振で2死を奪った。佐々木個人と、チームの記録を決める記念の1球はカーブ。これもズバリと決まった。佐々木の充実度を証明する幕切れだった。
佐々木「記録?そうねえ。ま、オフになったら喜びますよ。とにかくチームが勝ってよかった。それだけ。最後にカーブのサインは、オレも驚いたけど今はホントに調子いいね。」
ウイニングボールは、ピネラ監督に渡った。チームが4月だけで20勝(4敗)に到達し、97年のブレーブス(19勝6敗)を抜く4月のメジャー月間記録を達成したからだ。「長い大リーグの歴史の中、記録は誇りに思う」と、うれしそうにボールを手にする監督の姿を見て、佐々木は満足だった。自身も4月のメジャー新記録となる13セーブ。しかも米国での通算50セーブ目でもあった。
「ピネラ監督はうれしそうだったから、とても欲しいなんて言えなかったよ(笑い)。オレは昨日のタイ記録のボールをもらったから、いいんだ」。ストッパーの記録は、個人の奮闘だけでは達成できない。佐々木の多忙は、チームの好調を意味する。個人記録にも誇りは持つが、それだけがすべてではない。
佐々木はナインとの間に距離をつくらない。最近、ブルペンでは座布団代わりのタオルをぬらしておく「いたずら」がはやっている。知らずに座った人のぬれたシリを指さし、佐々木も一緒になって大笑いしながら出番を待っているという。「今、ブルペンの雰囲気は最高だよ。みんながいい結果を出しているでしょう」。
開幕第2カードから、すべて1、2戦に連投という過酷なパターンが続いている。1カ月間で15試合に登板は、横浜時代にも体験がない未知の世界。グラウンドでは口に出さないが、疲れは蓄積されている。ヒジが下がっていると自覚することもある。それでも笑ってマウンドに向かう。チームの勢いを止めたくないからだ。「ヤンキースの3本柱(クレメンス、ペティット、ムシーナ)に3連勝したでしょう。あれが、うちの強さですよ」。疲労回復のため今日29日は登板しない予定だが、それでもブルペンで仲間に声援を送る。佐々木がいればこそ、マリナーズは快進撃を続けられる。
■佐々木の記録
◆4月月間最多セーブ(S):1994年にスミス(オリオールズ)が記録した大リーグ記録の12を抜く、13Sをマーク。
◆通算50S:佐々木は昨年、新人最多S記録を塗り替えており、正式な記録は残っていないが1シーズン+1カ月での通算50Sはメジャー最短での到達。
◆チーム月間最多S:95年9月、チャールトンが作った11は、すでに前日に抜いていたが、さらに1を上積み。
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