<ヤンキース5−7マリナーズ>
大魔神が、早くもセーブ王へ独走態勢に入った。シアトル・マリナーズの佐々木主浩投手が、ヤンキース戦で2点リードの9回裏に登板し、打者3人をピシャリ。両リーグ10セーブ一番乗りを果たした。今季20試合目での到達は、メジャー記録のシーズン57Sを上回る超ハイペース。マ軍は今季初の5連勝で、貯金は12までふくらんだ。
イチローら同僚を出迎える佐々木の顔が、誇らしげだった。肩を落として家路へ向かうヤ軍ファンをよそに、試合後のマウンド上で佐々木スマイルが輝いていた。
「いい勝ち方でしたね。ヤンキースタジアムは、やっぱり雰囲気のある球場だし、何か独特のものがあるんです。メンバー的にもすごい選手ばかりですしね。日本でいえば、ジャイアンツに投げるような気分。お客さんが満員ではなかったですが、緊張するというより、ワクワクするような感じになるんです。そこで抑えられると、やっぱり気分はいいもんです」。
三振はなかったが、8番ソリアーノから、ブローシャス、ノブロックをいずれも凡飛に打ち取った。決め球はすべて直球。最速148キロだった。
「球速というよりも、今日は真っすぐが走っているのが自分でも分かりました。(中3日で)ブルペンでつくっている時から、ちょっと肩が軽いとは思ってました。1人走者を出すと2番ジーターまで回るので、絶対に出さないように注意しました。結果的にも、真っすぐで詰まらせたから、まあまあの出来だったんじゃないですかね」。
くしくも、この日は大リーグ創設100周年の記念日。そのメモリアルデーとなった今季20試合目で早くも10セーブ目。4月のメジャー月間記録へあと2S(残り5試合)と迫った。単純計算では81Sペース。90年にシグペンがつくったシーズン57Sのメジャー記録更新も夢ではない。昨季の公式戦37S、プレーオフ3Sと合わせて米国通算50S目でもあった。
「確かに登板数も多い(12試合=リーグトップ)ですが、記録とか数字的なことはどうでもいいんです。チームが勝っているし、今は、そんなことを気にしても仕方がない。0―10で負けてる場面で投げるよりも、競った場面の方が気合は入る。相手も研究してきてるし、余裕なんかありません。ただ、まだ自分の好きな季節でもないのに、順調にきているので、楽しみな部分はあります。暑くなれば、もっと球も速くなると思うんです。あとは、体のケアをしっかりとやることですね」。
佐々木の好調さの裏に、チームへの信頼感があることも見逃せない。打線はヤ軍のエース、クレメンスを攻略。7回にはランプキンの大飛球をヤ軍の左翼ノブロックがグラブに当てて本塁打にするなど、マ軍に有利な流れもあり、今季初の5連勝を飾った。
「ツイてるといえばツイてるけど、今はチーム全体がいいリズムになってます。確かにハデじゃないけど、点の取り方がうまくなった。昨年までは、走者を出しても返せないことも多かったけど、今は内野ゴロでも点が取れる。大差で勝つこともないけど、大差で負けることもあまりない。競った試合が多くて疲れるのも事実だけど、そういう試合をものにしているとチーム全体が精神的に強くなる。今後は大変な時期もくるでしょうが、これからも自分の役割をキッチリとこなしていきたいですね」。
目先の数字や、短期的な調子だけに左右されない。その表情には、メジャー2年目ではなく、プロ12年目の風格があふれていた。
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