<マリナーズ3−2エンゼルス>
少しばかり、はれの残る佐々木の顔が引き締まった。2点リードの9回表、先頭3番サーモンに初球を右翼席へ運ばれ、一気にテンションが上がった。「外角低めのいい球だったのにあんな球をよく打つよね。あそこだけを狙っていたんですかね」。同じエ軍戦では13日に逆転サヨナラ2ランを浴びたばかり。1点差に迫られ、佐々木の緊張感はヒートアップした。
本来ならマウンドに上がるのもつらい状態だった。前日18日の練習中、右翼後方に転がっているボールをスタンドのファンに手渡そうとした時、右ほおに打球が直撃。「火花が出ました」というほどの衝撃を受けた。幸い骨に異常はなかったが試合中はブルペンにも入らず、ロッカー室で15分間のアイシングを6回。「走ると痛みが走るし、投げる時に肩とアゴがぶつかる。あくびをするのも怖いぐらいだった。でも気にしないようにしました」。1点差となってからは4番グラースを三振に取り、最後は代打スピージオを右飛に抑えて試合終了。ウイニングボールを、初めてイチローから受け取り、ようやく笑みがこぼれた。
開幕16試合で早くも10試合に登板し、メジャートップタイの8セーブ目。残り9試合を残す状況で、1997年、チャールトンが記録した4月のチーム月間最多セーブ記録を塗り替えた。「そういうのはあまり気にしてもね。ただ、このままなら100試合(登板)ペースかあ。2勤1休ペースだけど、監督も考えてくれてるし、チームが連戦のアタマを取ってるのは大きいですからね」。異例のハイペース登板もチームの勝利あってのこと。同僚と勝利を分かち合った瞬間、佐々木は右ほおの痛みを忘れていた。
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